大泉病院の概要

修正型電気けいれん療法(mECT)

 大泉病院では、従来のサイン波治療器による長年の治療経験をもとに、より安全なパルス波治療器を2014年に導入して修正型電気けいれん療法(mECT:modified Electro Convulsive Therapy)を実施しています。さらに2024年9月には、最新型の治療器であるサイマトロン®モデル200をいち早く導入し、薬物療法では十分な改善が得られない方や、緊急性の高い重篤な精神症状をお持ちの方に対して、即効性のある安全・確実な治療として提供しています。
 現在、毎年約1000件のmECTを実施しており、東京都内でも有数の豊富な治療実績を積み重ねています。

 

mECT(修正型電気けいれん療法)とは

 ECT(電気けいれん療法)は、頭部にごく短時間の電気刺激を行い、脳のはたらきを改善する治療法です。1938年にイタリアで初めて実施され、翌1939年には日本でも実施されるようになりました。使用される機器や薬剤、手技に改良を加えながら、現在では世界100カ国以上で実施されています。
「修正型」とは、全身麻酔薬と筋弛緩薬を使用することによって、電気刺激による身体のけいれんを抑えたうえで治療を行う方法のことです。治療中は眠っている状態のため、痛みや苦痛を感じることはありません。薬物療法と比較して即効性が高く、薬が効きにくい症例にも有効であることが、多くの研究によって示され、世界各国のうつ病等の治療ガイドラインでも治療オプションとして明記されています。

 

こんな方にmECTをお勧めします

以下のような状態でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
  • 複数の抗うつ薬・抗精神病薬を十分な量・期間使用しても、症状が改善しない
  • 副作用のために、薬を十分な量まで増やすことができない
  • うつ病・双極性障害(躁うつ病)・統合失調症の症状が重く、早急な改善が必要な状態
  • 食事がとれない、自殺念慮が強いなど、緊急性の高い状態
  • 以前にmECTを受けたことがあり、効果が認められた
 
主な適応疾患:うつ病/双極性障害(躁うつ病)/統合失調症/その他の難治性精神疾患
 

大泉病院のmECT実施体制と安全管理

大泉病院では、mECTの安全かつ確実な実施のために、以下の体制を整えています。
麻酔管理
麻酔科医が全身麻酔を担当します。治療中は血圧・心電図・脳波・酸素飽和度を継続的にモニタリングし、安全を確認しながら実施します。
治療機器
短パルス矩形波治療器(サイマトロン®モデル200)を使用しています。サイン波治療器と比べて少ないエネルギーで同等の効果が得られ、認知機能への影響を最小限に抑えています。「モデル200」は従来型のサイマトロン®よりも高出力で、より多くの方に効果が期待されます。
多職種連携
精神科医・麻酔科医・看護師が連携してチームで対応します。治療前後の経過観察も専門スタッフが担当します。
実施件数
年間平均約1000件、過去5年間(2020~2024)で5016件実施しています。

治療の流れ

  1. 事前検査:血液検査・心電図・脳波・頭部画像(CTスキャン)・胸腹部レントゲンなどを実施し、安全に治療が行えるか確認します。
  2. 説明と同意:担当医から治療の内容・期待される効果・起こり得る副作用について丁寧にご説明し、ご本人・ご家族のご同意をいただいてから開始します。
  3. 治療当日:点滴から麻酔薬・筋弛緩薬を投与し、眠っている状態で治療を行います。1回の所要時間は約15〜20分です。覚醒後、しばらく安静にしていただき、問題がなければ病棟に戻ります。
  4. 治療期間:通常、週2~3回のペースで実施し、1クールは5〜10回が目安です(病状により個人差があり、最大12~15回程度行う場合もあります)。
  5. 終了後:症状の安定を確認したのち、薬物療法を継続します。
 
治療の途中でも、同意をいつでも撤回することができます。疑問や不安は遠慮なく担当医にご相談ください。
 

副作用について

mECTは適切な管理のもとで行われる安全性の高い治療法ですが、以下の副作用が生じることがあります。
  • 一過性の頭痛・筋肉痛(多くは治療後数時間で消失します)
  • 覚醒直後の一時的な混乱・もうろう(通常は短時間で回復します)
  • 治療前後の記憶の一時的な欠落(ほとんどの場合、1か月以内には回復します)
  • 麻酔に関連した吐き気・血圧変動(麻酔科医が継続管理します)
  • 口周囲の咬傷、不安定な歯の脱落など
 
副作用の出現や程度は個人差があります。気になる症状が出た場合は、すぐに担当医または看護師にお知らせください。
 

医療機関の皆様へ(紹介・転院のご相談)

大泉病院では、他の医療機関からのmECT実施目的の転院・入院紹介を受け付けています。治療を検討されている患者さんがいらっしゃいましたら、当院の地域連携室までお気軽にご相談ください。
紹介患者さんへの対応後は、経過をまとめた診療情報提供書とともに、原則として紹介元医療機関へお戻りいただく形をとっています。


地域連携室   電話:03-3924-2111(代表) 受付時間:月〜土 9:00〜17:00

よくある質問(mECT)

Q. 入院が必要ですか?

A. 当院では原則として入院での実施となります。治療前後の全身管理と安全確認のため、入院期間は1〜3か月程度が目安です(病状によって異なります)。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

A. mECTは保険診療の対象です。費用は実施回数により異なりますが、3割負担の方で1回あたり1万円程度と定められています(診療点数の見直しにより変動する場合があります)。高額療養費制度を利用できる場合もありますので、詳しくは外来受付または入院相談窓口にお問い合わせください。

Q. 記憶がなくなりませんか?

A. 治療前後の記憶に一時的な影響が出ることがありますが、多くの場合は治療終了後1か月以内に回復します。重篤な記憶障害が持続するケースは非常にまれです。担当医から事前に詳しくご説明します。

Q. 他院で治療を受けていますが、mECTだけ大泉病院でできますか?

A. 紹介状をお持ちいただければ、mECTを目的とした転入院を受け付けています。治療終了後は紹介元病院へお戻りいただくことが可能です。地域連携室(03-3924-2111)にご相談ください。

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