こころのことで困ったとき|第1回
家族が精神科への受診を拒否しています
[家族・支援者向け][受診相談] 監修:院長 冨田真幸(精神保健指定医)
なぜ受診を拒否するのか
精神科への受診を拒否する理由は、一人ひとり異なります。よくある理由としては、「自分は病気ではない」という病識の欠如、「精神科に行くと変な目で見られる」というスティグマへの恐れ、「薬漬けにされる」「入院させられる」という誤解、過去の受診経験によるトラウマなどが挙げられます。
特に統合失調症やうつ病の急性期、認知症の初期などでは、本人が「自分は病気だ」と認識できない状態になることがあります。これは本人の意志の問題ではなく、病気そのものの症状の一つです。「どうしてわかってくれないのか」と家族が責めてしまうのは自然な感情ですが、まずその背景を知っておくことが大切です。
家族ができること・気をつけること
① 「受診してほしい」という言い方を変える
「精神科に行こう」「病院に連れて行く」という直接的な言い方は、本人の抵抗を強めることがあります。代わりに「最近眠れていないみたいだから、眠れない相談に行ってみよう」「体の具合が悪そうだから、一度診てもらおう」といった形で、本人が受け入れやすい入口を探してみてください。
② 無理に連れて行こうとしない
強引に連れて行こうとすることで、かえって信頼関係が壊れてしまうことがあります。受診は一度きりではありません。長い目で見て、本人が「相談してみようか」と思える関係性を維持することが大切です。
③ 家族だけで相談に来てください
大泉病院の相談科では、本人が来院していない場合でも、ご家族だけでご相談いただけます。「どう声をかければいいか」「今の状態は緊急性があるか」「どんな機関に相談すればいいか」など、精神保健福祉士がご一緒に考えます。
こんな状態のときは早めにご相談を
以下に当てはまる場合は、早急に相談することをお勧めします
□ 「死にたい」「消えてしまいたい」という言葉が出ている
□ 食事をほとんど取らなくなった・急激に痩せてきた
□ 何日も眠れていない状態が続いている
□ 誰かに追われている・盗聴されているなど、明らかに現実と異なることを強く信じている
□ 自分や他者を傷つける可能性がある
□ 身の回りのことが全くできなくなっている
このような状態の場合、かかりつけ医や精神科への相談、または保健所・精神保健福祉センターへの緊急相談が必要になることがあります。
⚠ 緊急の場合
本人や周囲の人に危険が及ぶおそれがある場合は、救急(119番)または警察(110番)への連絡も選択肢の一つです。精神科救急に対応した医療機関への搬送につないでもらえる場合があります。
「説得」よりも「関係性の維持」を
受診拒否が続く状況の中で、家族が消耗してしまうことも少なくありません。「自分がもっとうまく説得できれば」と自分を責めてしまう方もいます。しかし、受診につながるまでには時間がかかることが多く、それは家族の努力が足りないせいではありません。
長い経過の中で大切なのは、本人との関係性を壊さずに維持し続けることです。「いつでも一緒に行けるよ」という姿勢を持ちながら、ご自身も無理をしすぎないことが重要です。
また、ご家族自身が疲弊しているときは、ご家族のためのサポートを求めることも大切です。大泉病院の相談科では、ご家族の気持ちの整理のためだけにご来談いただくことも歓迎しています。
地域の相談窓口
大泉病院のほかにも、以下のような相談窓口があります。
- お住まいの地域の保健所・保健センター
- 精神保健福祉センター(東京都は「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556)
- かかりつけの内科・家庭医からの紹介
- 地域包括支援センター(高齢者の場合)
複数の窓口に相談しながら、本人に合ったアプローチを探していただければと思います。
大泉病院 相談科へのご相談
ご本人が来院できない場合でも、ご家族だけでのご相談を承っています。精神保健福祉士がご対応します。
03-3924-2111
受付時間:月・火・木・金 9:00〜11:30・13:00〜15:00 / 水・土 9:00〜11:30
監修 冨田真幸(大泉病院 院長・精神科医師・精神保健指定医)
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