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こころの健康コラム

精神科の受診に診療情報提供書(紹介状)が必要なのはなぜですか

[他院に通院中の方・転院をご検討の方・ご家族の方へ] 監修:冨田 真幸(院長 精神保健指定医)


大泉病院では、これまでに他の医療機関で精神科・心療内科の治療を受けたことがある方に、診療情報提供書(紹介状)のご用意をお願いしています。お手間をおかけしますが、これは受診のハードルを上げるためのものではありません。これまでの診療の経過を引き継ぐことが、次の一手を少しでも早く、確かに見つけることにつながるからです。今回は、その理由と、主治医への頼み方についてご説明します。なお、精神科を受診されるのが初めての方には、診療情報提供書は必要ありません。

診療情報提供書には、これまでの診療の経過が記されています

診療情報提供書には、いつごろどのような症状で受診され、その後どのような経過をたどり、どのような診断のもとにどういった治療が行われ、その結果どうだったか、という診療の経過がまとめられています。担当された医師が診察のたびに記録してきた内容ですので、限られた初診の時間だけでは把握しきれない長い期間の経過を、まとめて知ることができます。

症状の経過

いつごろから症状が現れ、どのような時期に変化があり、そのときどのような対応がとられたのか。こうした時間の流れは、一度の診察のなかで再現することが難しい情報です。数年にわたる経過であればなおさらで、記録として残っていることに大きな意味があります。

診断と、治療の方針

どのような診断のもとに治療が組み立てられてきたのか、その方針がどのように変わってきたのかが分かります。過去にどういった見立てがなされ、何を目指して治療が行われてきたのかを踏まえられることは、次の治療を考えるうえで確かな土台になります。

薬の効果と、副作用の記録

精神科で使う薬は、同じ診断名であっても、合う薬・合わない薬が人によって大きく異なります。診察や検査によって「この方にはこの薬が効く」と事前に判定する方法は、現在のところありません。そのため、どの薬をどのくらいの量で、どのくらいの期間使い、その結果どうだったかという記録が手がかりになります。「十分な量を十分な期間使っても効果がなかった」という記録も、同じくらい重要です。また、過去に副作用が出た薬、体質的に合わなかった薬の記録は、安全に治療を進めるうえで欠かせません。

多くの精神科の薬は、効果を見きわめるまでに数週間を要します。過去の情報がない状態で一から試し直すと、すでに一度確かめられているはずのことをもう一度確かめるために、数か月を費やすことになりかねません。症状がつらい時期に治療の立ち上がりが遅れることは、ご本人にとって大きな負担になります。

これまでに受けた検査

血液検査や画像検査、心理検査の結果も、治療の判断に直接関わります。こちらについては、後ほどあらためてご説明します。

⚠ 診療情報提供書がない場合に起こりうること

これまでの経過が分からないまま、治療を一から組み立て直すことになります。過去に効果がなかった薬をもう一度試すことになる、以前効果があった薬にたどりつくまでに時間がかかる、副作用が出た薬の情報が分からないまま処方を始めることになる、といったことが起こりえます。いずれも、ご本人が回復されるまでの時間を長くしてしまう要因です。

前医の診断を踏まえたうえで、当院であらためて判断します

診療情報提供書に記された診断は、当院が治療を考えるうえでの大切な出発点になります。そのうえで、その診断を必ずしもそのまま引き継ぐわけではありません。当院であらためて診察を行い、必要に応じて検査を実施したうえで、当院としての判断をいたします。

経過が分かることの意味は、診断を決めてしまうことにはありません。これまでどのような見立てのもとに何が試みられ、それがどうだったのかを踏まえられることで、当院としての判断をより確かなものにできる、ということです。

また、精神科では、時間の経過とともに状態が変わることがあり、その後の経過を見ていくなかで診断が変わる場合もあります。診療情報提供書は、その時点までの経過を丁寧に伝えていただくためのものであり、これから先を縛るものではありません。「紹介状を書いてもらうと診断が決まってしまうのではないか」とご心配される必要はありません。

検査の結果も、あわせてお持ちください

診療情報提供書をご依頼いただく際に、これまでに受けられた検査の結果もあわせて添付していただけるよう、お願いしてみてください。血液検査、心電図、画像検査、心理検査は、いずれも治療の判断に直接関わります。原本ではなく、コピーで構いません。

血液検査・心電図 ― 薬を選ぶ前提になります

肝臓や腎臓のはたらき、血球の数、脈拍、不整脈の有無などは、どの薬をどのくらいの量から使えるかを決める前提になります。当院でも、お薬を始める前に血液検査と心電図を行うことが一般的です。直近の結果をお持ちいただければ、同じ検査を繰り返さずに済むことがあります。

また、甲状腺のはたらきの異常や貧血、不整脈など、気分の落ち込みや意欲の低下、パニック発作などと似た症状を起こす身体の病気もあります。過去の検査結果があると、こうした可能性を早い段階で整理することができます。

画像検査 ― 撮り直しても分からないことがあります

頭部のCTやMRIは、もの忘れやけいれんなど、脳の状態を確かめる必要がある場合に行われます。過去に撮影されたものがあると、当時と現在を見比べることができます。これは、新たに撮影するだけでは得られない情報です。画像そのものをディスク(CD-Rなど)でお借りできる場合もありますので、ご依頼の際にあわせてご相談ください。

心理検査 ― 短い期間に繰り返すと正確に測れません

知能検査や発達検査などの心理検査は、同じ検査を短い期間に繰り返して受けると、問題に慣れてしまうために、本来の状態とは異なる結果が出ることがあります。そのため、いつ、どのような検査を受け、どのような結果だったかが分かることには大きな意味があります。あらためて受けていただく時間とご負担を避けることにもつながります。

同じ検査を繰り返さずに済めば、ご本人の身体的なご負担も、費用のご負担も軽くなります。ただし、前回から時間が経っている場合や、現在の状態をあらためて確かめる必要がある場合には、当院で検査を行うことがあります。

✓ あわせてお持ちいただけると役立つもの

  • 血液検査の結果(直近のもの。経過が分かるものがあればなお助かります)
  • 心電図の結果
  • 頭部CT・MRIなどの画像検査の結果報告書、画像データ(CD-Rなど)
  • 心理検査の結果報告書
  • 脳波など、その他の検査結果
  • いずれも原本ではなくコピーで構いません

大泉病院から前の医療機関へ直接お願いすることはできませんか

医療機関どうしであっても、診療情報はご本人の同意なくやり取りすることができません。個人情報が守られること、そして患者さんご自身が自分の情報の扱いを決められることは、医療において守られるべき原則です。前の医療機関がすぐに応じられないのは、この原則に従っているためであり、対応が不親切だからではありません。

ご本人、またはご家族から主治医に直接お願いしていただくのが、最も確実で、最も早い方法です。

主治医に頼みにくいと感じている方へ

「転院を考えていると伝えるのが気まずい」「見捨てられたと思われないか心配」というお声を、私たちはよくうかがいます。ですが、診療情報提供書の作成は医療機関にとって日常的な業務であり、依頼をお断りされることはまれです。また、転院の理由を詳しくお話しする義務もありません。

たとえば、こう伝えていただければ十分です

✓ 主治医への伝え方の例

  • 「家から近い病院に移ることを考えているので、紹介状をお願いできますか」
  • 「入院も含めた治療を一度相談してみたいので、紹介状をいただけますか」
  • 「家族から、別の医療機関にも相談してみるよう勧められています」
  • ご家族から主治医にお伝えいただくこともできます

受け取るまでの期間と費用

依頼してから受け取るまでには、数日から2週間程度かかることが一般的です。次回の診察を待たずに依頼できる場合もありますので、受診をお急ぎの事情があればその旨をお伝えください。診療情報提供書の作成には健康保険が適用されます。実際にかかる期間や費用は医療機関によって異なりますので、ご依頼の際にご確認ください。

受診についてご相談されたい方へ
大泉病院では、ホームページから初診のお申し込みを受け付けています。紹介状の準備についてご不明な点があれば、お申し込みの際にご記入ください。

初診申込フォームを見る

どうしても入手できない場合はどうすればよいですか

以前かかっていた医療機関が閉院している、通院を中断してから長い時間が経っている、といったご事情で診療情報提供書をご用意できないこともあります。その場合でも、次のような資料があれば治療の手がかりになります。お申し込みの際に、ご事情とあわせてご記入ください。

✓ 診療情報提供書の手がかりになる資料

  • お薬手帳(薬の名前・量・処方された期間が分かります)
  • 調剤薬局で受け取る薬剤情報提供書
  • 過去の処方箋の控え、服用していたお薬の現物やその写真
  • 入院されていた場合は、退院時にお渡しされた書類
  • 健康診断や人間ドックの結果(血液検査の値が分かります)

ただし、これらの資料から分かるのは「何をどれだけ使ったか」までです。どのような経過をたどったのか、その薬に効果があったのか、なぜ中止になったのかまでは分かりません。可能なかぎり診療情報提供書をご用意いただくよう、あらためてお願いしています。

よくある質問

Q. 精神科を受診するのは初めてです。紹介状は必要ですか

A. 必要ありません。診療情報提供書をお願いしているのは、これまでに他の医療機関で精神科・心療内科の治療を受けたことがある方です。なお、内科などで睡眠薬や抗不安薬を処方されていた場合は、お薬の内容が分かる資料をお持ちいただけると診療に役立ちます。

Q. 前の病院でついた診断は、そのまま引き継がれますか

A. 前医の診断は、当院が治療を考えるうえでの大切な出発点になります。そのうえで、当院であらためて診察を行い、必要に応じて検査を実施したうえで判断いたします。その後の経過を見ていくなかで、診断が変わる場合もあります。

Q. 紹介状は誰に書いてもらえばよいですか

A. 現在通院されている医療機関の主治医にご依頼ください。複数の医療機関にかかっている場合は、精神科・心療内科の治療を担当している医師にお願いしてください。すでに通院を終えている場合でも、当時の医療機関に相談していただくことができます。

Q. 転院することを伝えずに紹介状をもらうことはできますか

A. 転院の理由を詳しくお話しする義務はありません。「通院の負担を減らしたい」「入院も含めて相談したい」といった伝え方で十分です。診療情報提供書の作成は日常的な業務ですので、過度にご心配される必要はありません。

Q. 検査の結果も持っていったほうがよいですか

A. はい。血液検査、心電図、頭部のCTやMRIなどの画像検査、心理検査、脳波の結果があれば、あわせてお持ちください。原本ではなくコピーで構いません。診療情報提供書をご依頼される際に、検査結果も添付していただけるようお願いしてみてください。

Q. 前の病院で受けた検査を、また受けることになりますか

A. 過去の検査結果を確認できれば、同じ検査を繰り返さずに済むことがあります。ご本人の身体的なご負担も、費用のご負担も軽くなります。ただし、前回から時間が経っている場合や、現在の状態をあらためて確かめる必要がある場合には、当院で検査を行うことがあります。

Q. お薬手帳があれば紹介状の代わりになりますか

A. お薬手帳からは薬の名前・量・処方された期間が分かるため、貴重な情報です。ただし、どのような経過をたどったのか、その薬に効果があったのか、なぜ中止になったのかまでは分かりません。お薬手帳だけでは判断できないことが多いため、可能なかぎり診療情報提供書のご用意をお願いしています。

Q. 紹介状がないと受診できませんか

A. 他の医療機関での治療歴がある方には、原則として診療情報提供書をご用意いただくようお願いしています。ご事情によりご用意が難しい場合は、お申し込みの際にその旨をご記入ください。個別に対応いたします。

Q. 紹介状を持っていくと、費用が高くなりますか

A. 診療情報提供書の作成費用は、作成した医療機関にお支払いいただくものです。当院での初診時に、紹介状をお持ちいただいたことで追加の費用が発生することはありません。

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大泉病院の初診は予約制です。ご本人からでも、ご家族・支援者の方からでもお申し込みいただけます。

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03-3924-2111

受付:月〜土 9:00〜11:30 / 13:00〜15:00(水・土は午前のみ/日曜・祝日休診)

監修 冨田 真幸(院長 精神保健指定医)

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